チベット高原の積乱雲(アムド:32.15N, 91.38E, 4700mで 撮影) . 3000m以上の地で雄大な積乱雲が発達する.

 

 

 

 

 

 

 

地球は水の惑星です。水は固体・液体・気体( 氷・水・水蒸気)の3態に変化し(相変化といいます), 大気圏, 水圏, 地球表層を循環します。地球の大気はこの相変化によって, 非常にダイナミックな変動を示します。はこの水循環の過程で生じる現象であり, 生命にとって不可欠な真水を供給する過程として非常に重要です。一方で, 雲・降水の変動は干ばつや洪水など, 生命に深刻な災害をもたらします。雲・降水変動といっても, 時間スケールは数時間から数十年規模, また空間スケールは数キロから数千キロ規模まで様々です。このため, 領域規模から地球規模のマルチ時空間スケールの雲・降水の変動とその過程を理解することが非常に重要になります。これらの研究は現在進行形で変化しつづける地球の雲・降水過程の将来像を考える上でもとても大切です。

 

陸上の雲・降水変動は水資源や災害の観点からも特に重要です。我々が住むアジアは全体的にみるとアジアモンスーンによる雨期があり雨の非常に多い地域です。この豊富な降水が世界人口の約60パーセントが暮らすアジアの生活を維持しています。領域的には, 同じアジアでも雨の多い領域や雨の少ない領域が内在します。また,同じ領域でも季節変化は毎年変調し,雨の多い年や少ないといった年々変動がみられます。これらの変動機構の理解はまだまだ課題が多く残されたままです。また、陸域の雲・降水現象は陸面(地表面状態や地形)と植物などの陸域生態系とのフィードバック(相互作用)が非常に重要です。これらの地表面状態が様々な時空間スケールの水循環の変動過程にどのような影響を及ぼしているのかも興味深い課題です。

 

この研究室では, 地球上の様々な時間・空間スケールの雲・降水変動の実態解明とその変動の理解を通じて, 地球の気候システムの理解を目指します。研究手法は人工衛星データ, 全球客観解析データ, 現地での観測データを用いた解析的研究を中心に, 適宜数値モデルも援用しつつ行います。また, 気象・気候の分野だけでなく, 水文気象, 植物生態, 動物生態などの分野との共同研究も積極的に行っています。

 

研究対象時間スケール

日変化, 総観規模擾乱(3日〜7日程度), 季節内変動(10〜60日程度), 季節変化, 年々変動, 10年規模変動, 長期変化傾向など.   これらの時間空間スケール間の多重構造.

具体的な対象事例:

積雲活動, 熱帯擾乱(台風, サイクロン, モンスーン低気圧), 梅雨前線, 季節内変動(QBW, BSISO, MJO), 夏期降水量の長期変化傾向, 半乾燥地域の夏期降水量の長期変化傾向と年々変動など

解析対象領域:

チベット高原, ヒマラヤ, 中国大陸東部平野部, 日本, バングラデシュ, インド, ミャンマー, タイ, ベンガル湾, 海洋性大陸(ボルネオ島, スマトラ島など), モンゴル, シベリア, 北極海など